ミルクを70度以下で作っちゃったんだけど、飲ませちゃダメ?
育児書や子育てアプリなどで「ミルクは70度以上のお湯で作りましょう」といった記載をよく見かけます。
けれど「なぜ70度以上が良いのか」「70度以下で作ってしまった場合はどうしたら良いのか」などは説明されていないことがほとんどですよね。
- 40度程度のぬるま湯でも哺乳瓶を振ればなんだかんだ溶けるから大丈夫そうだけど…
- 70度以下で作ったことに気付かずに飲ませてしまったら?
などなど、ミルクを作る中でこのような疑問を感じた人も少なくないかもしれません。
結論から言うと、70度以下で作ったミルクを飲ませるのは厳禁です!必ず飲ませずに捨ててください。
粉ミルクには、微量ではあるものの細菌が入っていることがあり、その細菌は70度以上のお湯でないと死滅しません。
けど飲ませちゃったらどうするの?吐き出させるってわけにもいかないし…。
粉ミルクに入っている可能性のある細菌は、赤ちゃんの体に悪い影響をもたらす恐れがあります。
確率は非常に低いですが、神経障害や死亡に至るケースも報告されています。
今回の記事では「ミルクを70度以下で作ってしまった(飲ませてしまった)時の対処法」を解説しているので、しっかりチェックしてくださいね。
この記事では
- ミルクを70度以下で作ってしまった時の対処法
- ミルクは70度でそのまま飲ませてもいい?
- ミルク作りにあると便利なアイテム4選
についてまとめています。
ミルクを70度以下で作る危険性について理解して、授乳を安心安全に行いましょう♪
ミルクを70度以下で作ってしまった時の対処法
70度以下で作ったミルクは飲ませず捨ててください
ついうっかりして、70度以下でミルクを作ってしまった…そんな経験ありませんか?
中には「せっかく作ったのに捨てちゃうのはもったいないし、今回はこのまま飲ませちゃおうかな」といった考えが頭をよぎったことがある人もいるのではないでしょうか。
けれど、それは絶対にNG!ミルクは飲ませず捨てましょう。
赤ちゃんの食事1回分と考えると、確かにもったいないと感じる気持ちはわかります。
ただ、70度以下で作ったミルクには死滅していない細菌が含まれている可能性があるんです!
この細菌は、大人でも体調に悪影響を及ぼす危険のある非常に危ないもので、特に体が未熟な赤ちゃんだと下痢や発熱など様々な症状が現れる恐れがあります。
「ちょっとだけなら大丈夫だよね」がちょっとじゃ済まなくなる場合も…。赤ちゃんのためにも、70度以上のお湯で新しく作り直してあげましょう。
飲ませてしまった場合は数日間小まめに体調をチェック
70度以下のお湯で作ったミルクを赤ちゃんに飲ませてしまったとしても、すぐに症状が出るわけではありません。
症状が出始めるのは、早くても数時間~長いと数日間かかる場合もあります。
そのため、数日間は小まめに赤ちゃんの様子をチェックするようにしましょう。
チェックするポイント
- 機嫌は悪くないか
- 元気はあるか
- 顔色は悪くないか
- 食欲はあるか
- 発熱の有無
- 吐き戻しや下痢の症状は出てないか
もし上記のような症状が出ている場合は、すぐに医療機関を受診してください。
その際「〇月〇日の〇時頃に、70度以下で作ったミルクを飲ませました」と医師にきちんと伝えるようにしましょう。
ミルクを70度以上で作るのはなぜ?理由は「サカザキ菌」と「サルモネラ菌」
粉ミルクには、「サカザキ菌」や「サルモネラ菌」といった細菌が混ざっていることがあります。
この細菌は、赤ちゃんの体内に入ると悪影響を及ぼす可能性があり非常に危険です!
引用元:横浜市|粉ミルク(乳児用調整粉乳)を 70℃以上のお湯で溶かすワケ
- Cronobacter sakazakii(サカザキ菌)とは
- サカザキ菌は、乳児(1歳未満の子ども)、特に未熟児や免疫不全児、低出生体重児を中心として「敗血症」や「壊死性腸炎」をおこすことがあり、重篤な場合には「髄膜炎」を併発することがあります。
- Salmonella enterica(サルモネラ菌)とは
- サルモネラ菌は、主にヒト・動物の腸管内に生息する細菌で、数多くの種類があり、中にはチフス性疾患をおこすものや、下痢、発熱といった食中毒をおこすものがあります。
特に気を付けるべきは、サカザキ菌!
サカザキ菌は熱に対して耐性があり、70度以下では死滅せず生き残ると言われています。
しかも、サカザキ菌は乾燥した粉ミルクの中で1年以上生存可能なんだとか!考えただけでゾッとしちゃう…。
ミルクを正しい方法で作ることが、サカザキ菌やサルモネラ菌の感染予防に繋がります。
- ミルクは必ず70度以上のお湯で作る
- 手指や使う器具はよく洗う
赤ちゃんの健康を守るためにも、この点を徹底するようにしましょう。
「ぬるま湯で作ってしまっても大丈夫」は信じないで!
けど、知恵袋では「70度以下でも大丈夫」って意見が多いみたいだけど…。
ちょっと待って!その人のお子さんはたまたま大丈夫だっただけで、あなたのお子さんが100%大丈夫だということにはならないですよね。
確かに、70度以下のお湯で作ったミルクを飲ませてしまったとしても、全ての赤ちゃんに体調不良の症状が出るわけではありません。
どちらかと言うと、症状が出ない確率の方が高いです。
ただ、だからと言って100%安全なわけではありません!
実際に、毎年世界で数人~十数人の患者が出ていて、亡くなる乳幼児も報告されています。
米国では、2000年に1例、2001年に1例、2002年に1例、2003年に6 例、2004年に2例、2005年に2例および2008年に2例の報告あり。
ニュージーランドでは、2004年に1例、フランスでは2004年に集団発生例(5 名が感染、2名が死亡)の報告あり。
日本では、2007年に1例、2009年に1例の報告(どちらも超低体重出生児)あり。
引用元:食品安全委員会「食品により媒介される感染症等に関する文献調査報告書」
「70度以下で作っても大丈夫だよ」という意見を鵜呑みにして、結果お子さんに何かしらの症状が出てしまっては大変!
あなたの赤ちゃんを守るのは、あなた自身です!
ミルクは70度でそのまま飲ませてもいい?
ミルクは70度以上で作るべきなのはわかるけど、冷ますのって結構手間だったりしますよね。
少しくらい熱くても平気なのでは?と感じる人もいるかもしれません。
ですが、70度はさすがに熱いです。
いくら口の中だと言っても、赤ちゃんの皮膚はとてもデリケート。低温火傷をしてしまう恐れもあるので注意が必要です!
70度以上で作ったら冷まして飲ませるのが基本
ミルクを70度以上で作ったら、必ず冷ましてから飲ませてあげましょう。
70度だと大人でも熱いと感じるくらいの温度なので、当然赤ちゃんにとっては熱すぎます。
おそらく飲んだ瞬間に泣いてしまう子がほとんどで、最悪の場合火傷してしまう可能性も…。
「冷ますのめんどくさい」という気持ち、とてもわかります。
特に目の前で赤ちゃんが泣いていたりすると、今すぐにミルクを飲ませてあげたいですよね。
けれど、そこは赤ちゃんもママパパもグッと堪えて!
待たせると言ってもたったの数分!しっかりと冷ましたミルクを用意してあげましょう♪
少量なら70度でいける⁉
200mlのミルクを70度でそのまま飲ませるのは熱いですが、40ml程度の少量であればいけなくもないです。
なぜなら、少し振る程度ですぐに冷めるから。
ちょっと熱いかな?という場合は流水を数秒かければ、程よい温度になるので試してみてくださいね。
赤ちゃんのミルクは人肌程度の35~40度がベスト温度
赤ちゃんのミルクの適温は、40度程度と言われています。
お風呂やホッカイロを握ったくらいの温かさが、大体40度くらい。
哺乳瓶を握って温度を感じない~ほのかに温かいくらいがベストなので、作ったらその都度確認するようにしましょう。
ちなみに、70度以上で作ったミルクは
- 流水や氷水に浸ける
- 保冷剤を巻く
- 湯冷ましを使う
といった形で冷ます方法があります。
この中だと、流水をかけたり冷たい氷水に浸ける方法が一般的ですかね。
けれど、流水や氷水を使う方法って結構時間かかりませんか?しかも水がもったいない…。
そんな人は、保冷剤を巻く方法や湯冷ましを使う方法がおすすめです。
保冷材は100均などでも売ってるので、何かのお買い物ついでに探してみてはいかがでしょうか。
湯冷ましを使う方法については、こちらで紹介しています♪
【Q&A】100度のお湯でミルクを作ったら栄養が壊れるってホント?
結論から言うと、ウソです。
一昔前は調乳温度が今より低かったため、高すぎる温度では栄養が壊れてしまうと言われていました。
ただ、粉ミルクを製造するメーカーによると、栄養が壊れるといったことはないそうです。
実際、ミルク缶のどこを見ても「100度のお湯で作らないでください」といった記載はないですよね?
70度以上でミルクを作る目的は「殺菌」であって「栄養が壊れるのを防ぐため」ではありません。
なので、心配しなくても大丈夫ですよ!
100度のお湯でミルクを作る場合は、火傷に十分注意してくださいね♪
ミルク作りにあると便利なアイテム4選
赤ちゃんのミルク作りに、このようなアイテムがあると時短になってとても便利です。
- 湯冷まし
- 調乳ポットや70度設定可能な電気ポット・ケトル
- 料理用の温度計
- ウォーターサーバー
①湯冷ましでミルク作りを時短
70度以上のお湯で作ったミルクは、冷水で冷やすとなったら200mlのミルクで大体5分程度かかります。
目の前で大泣きする赤ちゃんがいたら、正直そんなに待ってられないですよね。
そんな時は、湯冷ましを使うと便利です。
湯冷ましとは、一度煮沸した後に人肌以下まで冷ました水のこと。水道水のカルキ臭を抜いたり、消毒することを目的としたもので、赤ちゃんのミルクを冷ますのに使うことが出来ますよ。
湯冷ましの使い方
- 粉ミルクを入れた哺乳瓶に、70度以上のお湯を6割程度注ぐ
- 哺乳瓶を振ってミルクを溶かす
- 残り4割分、湯冷ましを注ぐ
これだけで適温のミルクが完成!(湯冷ましの温度によって割合は多少変わります)
ちなみに、湯冷ましは冷蔵庫で2~3日保存可能なので、時間があるときに作って保存しておくのがおすすめです。
湯冷ましの作り方などは、こちらの記事で詳しく解説しています♪
②調乳ポットや70度設定可能な電気ポット・ケトルを使う
調乳ポットはミルクを作る専用のポットなので、70度のお湯を簡単に作ることが出来ます。
特に低月齢の赤ちゃんだと3時間おきにミルクを飲ませる必要があるので、自動的に70度以上で保温しておける調乳ポットはとっても便利♪
ただ、調乳ポットはミルクを作る意外に活躍の場がないのがデメリット…。
最近では70度に設定可能な電気ポットやケトルもあるので、そちらで代用するのもおすすめです。
調乳ポットや代用方法については、こちらの記事で詳しく解説しています♪
③料理用の温度計で適温をチェック
「70度以上のお湯でミルクを作りましょう」といっても、70度ってどれくらいだろう?と感じることありますよね。
そんな時に便利なのが、料理用の温度計!
これ一つあれば簡単に70度のお湯を用意することが出来ます。
しかも、ミルク卒業後は普通に料理用として使えるので無駄にはなりません。
それほど高いアイテムではないので、ぜひチェックしてみてください。
④ウォーターサーバーを検討するのもアリ
ミルク作りの時短に特におすすめなのが、ウォーターサーバーの活用です。
ウォーターサーバーなら温水をそのまま使えるので、お湯を沸かす手間が省けてママもパパも大助かり!
ちなみに、一般的なウォーターサーバーだとお湯は大体90度前後、水は10度前後。
お湯:水=6:4くらいの割合で作ると、適温のミルクを簡単に作ることが出来ます。
けどウォーターサーバーって高いんじゃない?しかも電気代もかかるし…。
例えば、人気メーカー「アクアクララ」の「アクアスリム」の2年割プランを4人家族(大人2人、子供2人)で使うと金額はこんな感じ。
お水代(12L×4本) | 5,616円(税込) |
安心サポート料(配達設置、メンテナンス代など) | 1,100円(税込) |
子育てアクアプラン(6歳以下の子供がいる場合) | -550円 |
合計 | 6,166円/月(税込) |
ウォーターサーバーの毎月の電気代が大体700円前後なので、1ヶ月で約7,000円くらいの出費と考えて良さそうです。
確かに金額は安くないですね…。けど、ウォーターサーバーにはメリットもいっぱいなんです!
例えば、アクアクララだと
- お水は赤ちゃんに優しい軟水
- 自宅まで水を配送してくれる
- 定期的にメンテナンスしてくれる
- 6ヶ月保存可能なので、非常時の備蓄水としても役立つ
といった特徴やサービスが充実しているので、小さなお子さんを持つ家庭に多く選ばれていますよ。
「ウォーターサーバーを設置してみようかな」と考えている人は、ぜひ一度チェックしてみてください♪
【まとめ】赤ちゃんには安心安全なミルクを作ってあげましょう!
要点のまとめ
70度以下で作ったミルクを飲ませるのは厳禁です!
粉ミルクには、微量ではあるものの「サカザキ菌」や「サルモネラ菌」といった細菌が入っていることがあり、その細菌は70度以上のお湯でないと死滅しません。
ミルクを70度以下で作ってしまった場合は、飲ませず捨てるようにしましょう。
また、誤って飲ませてしまった場合は
- 機嫌は悪くないか
- 元気はあるか
- 顔色は悪くないか
- 食欲はあるか
- 発熱の有無
- 吐き戻しや下痢の症状は出てないか
上記のような症状が出ていないか、数日間チェックするようにしてください。
あなたの赤ちゃんを守るのは、あなたの家族!ママやパパです。
「ぬるま湯で作っても大丈夫だよ」といった意見に惑わされず、ミルクは必ず70度以上のお湯で作りましょう♪